TOEIC360点という初期英語力でカナダ留学した私は、「環境を変えれば英語は伸びる」と盲信していました。 しかし実際には、転校によって状況は改善するどころか、むしろ悪化していきました。
- 知識
- 覚悟
- 英語処理能力
これらが根本から不足している状態では、どんなに優れた環境も「学習の場」ではなく「ただの時間のお金の浪費」にしかなりません。
この記事は、同じ失敗を繰り返さないでほしいという思いと、過去の自分に対しての反省の記録です。
留学初期の現実|見えていなかった3つの不足
カナダに来た当初の私は、楽観的でした。はっきり言えば能天気だったと思います。「現地に来れば、生活していれば勝手に英語は伸びる」と思っていたのです。
しかし、最初の壁にぶつかった時、決定的に欠けていたものが3つあることに気づかされました。
- 知識:基礎文法や語彙の瞬時理解
- 覚悟:英語で生きるという前提の「生活習慣」や人生設計
- 英語の処理能力:リアルタイムで情報を理解し、コミュニケーションする力
この3つが揃っていない状態で、どれだけ学校をかえても、カリキュラムを良くしても、それは単なる「ストレスの貯まる学びのない環境」に放り込まれるのと同じことでした。
パスウェイと半年間の現実|将来が見えない不安
最初の語学学校では「パスウェイプログラム(進学準備コース)」を目標に短大進学を考えていました。一定の成績を取ればカレッジへ進める……はずでした。
しかし、最大の問題は「将来が見えない」ことでした。なざなら、自身の英語力の低さに加え、
- 具体的にどのレベルに達すれば進学できるのか?
- 今の自分の英語のレベルでどのくらいかかるのか?
- この先いくらかかるのか?
- どのようにしてパスウェイプログラムを通して進学できるのか?
- 確率は?
学校関係者にもエージェントにも確認しましたが、返ってくるのは曖昧な基準ばかり。そのまま半年が経過し、最後の1ヶ月でIELTS系のクラスに到達したものの、「カレッジに進めるレベルには明らかに届いていない」という絶望的な感覚だけは授業を通して理解は出来ました。
次第に「自分は何のためにここにいるのか」が分からなくなり、学校を行きたくないという感情が出てきました。
転校の決断|環境を変えれば解決するという誤解
6ヶ月目、私はついに転校という決断をしました。 「この環境が合っていないのではないか」 「もっと厳しいスパルタ系の学校に行けば、強制的に勉強する環境であればすぐ伸びるはずだ」と盲信。
当時の私の思考は、非常に単純でした。 「自分を無理やり追い込めば、何とかなる」
今振り返るとそれは完全に誤解で、悪手だなと思います。問題は環境ではなく、私自身の「基礎能力不足」という土台そのものだったからです。
スパルタ学校でも伸びなかった理由
新しい学校はレベルが高く、雰囲気も厳しく感じました。求められる英語力も高く感じました。しかし、私の現実は何一つ変わりませんでした。
授業スピードは上がり、理解度はさらに追いつかなくなります。
- 先生の言っていることが聞き取れない
- 文法が理解できない
- 質問すらできない
結局、前の学校で起きていたことと同じ状態が、繰り返されるだけでした。環境を変えるという行為は、ただの「現実逃避」だったと今なら思えます。
自身喪失による弊害:声が小さくなる
この転校期間で、想定していなかった深刻な変化がありました。それは「声が小さくなる」という現象です。
私はもともと、周囲からは社交的に見られることが多いのですが、内面はかなり内向的(Introvert)な性格です。発言することへの自信を失い、英語が通じない経験が積み重なり、どんどん声が小さくなっていきました。
今でもその時を思い出すときがあり、緊張した状況で英語を話すとき、相手に何度も聞き返されることがあります。 当時はそれを過度に気にしてしまい、「話すこと自体が怖い」という状態にまで陥っていました。
英語力以前の問題として、心理的に自分を追い込んでしまうとは予想しませんでした。
気づき|足りなかったのは環境ではなく「基礎」
この2校目の学校で、ようやく本質に気づきました。 問題は「どこの学校か」ということではありません。環境は変えても何も変わりませんでした。
足りなかったのは、基礎でした。
- 基礎知識の瞬時理解(=文法や語彙が反射的に出るか)
- 英語で考える覚悟(=日本語を介さない思考)
- リアルタイム処理能力(=聞き取りながら考える力)
準備不足の状態では、どれだけ環境を変えても結果は変わりません。
むしろ転校のたびに自信とお金だけが削られていきました。
「環境を変えれば伸びる」という考えは、最低限の基礎が揃った人にだけ成立する言葉だったのです。
💡 誰かのためになる英語コーナー
今回の経験を振り返り、留学やキャリアの「意思決定」というテーマで留学初期に不足していた「3つの要素」を表す英語をここで一緒に学びましょう。
- Foundation(ファウンデーション):基礎英語の瞬時理解(知っている単語を反射的に処理する力)
- Readiness(レディネス):英語で生きる前提の準備(「英語で生きる」という覚悟と環境適応)
- Processing Speed(プロセッシング・スピード):リアルタイムで理解する力(情報を即座に脳内で処理する能力)
- Escape(エスケープ):逃避、現実から逃れること
- Priority(プライオリティ):優先順位
【例】The perception that “changing environments solves everything” is often just an escape from hard work. Studying abroad isn’t about finding the “right” school; it’s about establishing your own Foundation, your Readiness, and your Processing Speed. I’ve learned the hard way that identifying my Priorities and taking full responsibility for my own growth is the only sure path to success.
【訳】留学初期、「環境を変えれば何とかなる」という認識は、実は現状から目を背けるための逃避でした。留学において本当に重要なのは、学校という箱を探すことではなく、自分自身の基礎を固め、覚悟を持って処理能力を高めることです。今、何に一番時間を割くべきかという優先順位を自分自身に置くことこそが、最も確実な近道だったと痛感しています。
次回予告|バックアッププランという名の「先延ばし」
こうして、2つの語学学校を経験しても状況は改善しませんでした。 「進学は厳しい」と突きつけられた私が次に選んだのが「ワーキングホリデー」です。
当時はそれを「バックアッププラン」と呼んでいましたが、今振り返ると、それは現実から目を背けるための「先延ばし」でした。
次回:【留学の現実③】ワーホリは救いではなかった──キャリアが崩れていく現実
