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「高卒で公務員。辞めるのはもったいないね」
退職を決めた時、言われたその言葉は今となってはそんなことないと自信持って言えます。
自分でも安定したレールだなと思って走ってきましたし、10年が経ち、手元にはコツコツ貯めた約1300万円の貯金。 周りから見れば、絵に描いたような「順風満帆で安定した人生」だったかもしれません。
だけど私は今、カナダの現地企業でPayroll(給与計算)の専門職として働きとても充実した人生だと感じています。
かつての英語力は、TOEIC360点があるかないかの壊滅的なレベルで、とてもコンプレックスを感じていました。
何度も挫折しかけた私が、まさか海外で仕事をしているなんて、過去の私は夢にも思っていませんでした。今でも夢ではないかと思うほどです。
今回は、
- 10年間で1300万円を貯めた理由
- 「なぜ、居心地の良かった公務員を辞めたのか?」
- 「高卒からの安定した職を捨てる恐怖を、どう乗り越えたのか?」
人生の「決断」について、お話ししようと思います。
今の環境を変えたいと考えてる方、一歩を踏み出せずに悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです。
「4年で辞める」
「いつか自分の力で、海外に飛び出して生活してみたい」
高校生の頃、そんな夢を抱き口にした願いでした。 当時、思い描いていたのは「海外の大学」への進学と就職でした。
兎にも角にも資金が必要ということで、公務員になった当初の計画は、じつにシンプルでした。 「まずは4年間きっちり働いて、360万円ほど貯まったら辞める」 これくらいの手元資金があれば、海外生活もなんとかなるだろうと、当時の私は楽観的でした。
いざ4年が経ち、私の前に「現実の壁」が立ちはだかりました。
見積もりが甘く、インターナショナルの学生の場合は、学費がなんと現地学生の3倍!!という事実にここで気づきます。
学費や物価、生活費をシミュレーションしてみると、360万円なんて「学費を払うだけでギリギリ底をつく」という事実に気づいたのでした。しかも、この時点ではどこの国で学ぶかも決めてもおらず。
肝心の英語力はなんと、TOEICで360前後。奨学金でも借りようかとも考えましたが、目的がはっきりしないため申請理由が見つからず断念。
「お金も、英語力も、理由も何もかも足りない……」
夢を現実にするためには、計画の練り直しが必要だと痛感し、まずは資金調達に目標を絞り、導き出した目標額は「トータル1000万円」。
そこから、私の泥臭く地道な資金作りが本格的に始まったのです。
仕事が面白くなり、迫るタイムリミット
留学を先延ばしにした理由は、お金と英語力だけではありませんでした。
4年、5年と働いていくうちに、少しずつ仕事が楽しく思えるようになってきたのです。職場の人間関係にも恵まれ、「もう少しだけ、この仕事を試してみようかな」という欲が芽生えていきました。
「このまま公務員として、定年まで安定した人生を送るのも悪くないな……」
海外への夢を諦めそうになったことは、一度や二度ではありません。日々の仕事にやりがいを感じ、居心地の良さに身を委ねていた20代。
しかし、ふと我に返ったとき、目の前に凄まじいスピードで迫っている「タイムリミット」に気づきました。
「ワーキングホリデー、満30歳でタイムリミット」
「もう少し、もう少し」と現状維持を続けているうちに、気がつけば最後のチャンスとなる期限がすぐそこまで迫っていました。甘えが、一気に焦りへと変わった瞬間でした。
運命の1冊の最後のページの問い、「人生楽しんだ?」
決断を後押ししたのは、ある一冊の本でした。 私の迷いを断ち切り、決心させた一言が載っている本、写真家の丹葉暁弥さんと、作家のひすいこたろうさんの共著である『HUG! Friends』(小学館)という写真集です。
何気なくページをめくっていた私ですが、最後のページに差し掛かったとき、何気ない問いだけど見過ごせなかった言葉に出会いました。
「人生楽しんだ?」
そのシンプルな問いかけの重さに、ハッとしました。
「今の楽しさは、誰かが用意してくれた安全なレールの上での楽しさじゃないか?」 「私が死ぬ間際に本当に味わいたい『人生の楽しみ』は、絶対にこっち(海外への挑戦)だ」
この言葉が決定打となり、次のステージへの挑戦を決めました。
「私の行くべき場所」はここ、カナダの空の上で
公務員を辞める前に、まずは候補地選定。ということで、一度カナダへ下見旅行に出かけることにしました。目的地は、カルガリー経由で行くイエローナイフ。ずっと見たかったオーロラを見つつ、現地の雰囲気を知るための旅です。
その旅の途中、飛行機の中で小さな出来事がありました。たまたま隣の席に座ったのが、現地のカナダ人の方だったのです。
前述の通り、当時の私の英語力はTOEIC360点レベル。中学英語すら怪しい、文字通りの「片言」です。それでも必死に勇気を出して話しかけてみると、その方は嫌な顔一つせず、私の不器用な英語を一生懸命に聞き、とても楽しく会話を続けてくれました。
見知らぬ土地へ行く恐怖はありましたが、現地の人の温かさに触れて、もう少しここで生活してみたいという興味が湧いてきました。
下見と事前リサーチを通して以下の現実的なメリットも確認できました。
- 生活面で圧倒的に治安が良いこと
- 教育の質が高いこと
- 他国に比べて費用が比較的安価に抑えられること
「ここなら、私の夢を現実にできるかもしれない」
私の背中を最後に強く押してくれたのは、夜空に広がった圧倒的なオーロラでした。
その息をのむような美しさを見上げたとき、こう感じました。
「私は、この国で頑張りたい。」
まとめ:決断の背中を押したのは「1300万円の資金」
ワーホリの年齢制限、一冊の本との出会い、飛行機での温かい会話、荘厳なオーロラ。 今振り返れば、これらはすべて、単なるきっかけで、無視できない何かが当時の私にはありました。何か忘れていないか、何か変えられるのではないかというう言いようのない焦り。
結果的に「理由は何でもいい、飛び出そう!」と思えるほどの強気な決断ができたのは、間違いなく10年間貯めてきた1300万円の資金があったからです。
「夢」や「直感」だけで動くのは、大抵の人にとっては怖すぎます。高卒で公務員という安定を手放すとなればなおさらです。
でも私には、「これだけあれば、現地で何が起きてもどうにかなる」という絶対的な安心感がありました。
「せっかく10年頑張って、今ここにお金がある。もし現地でボロボロになって失敗したとしても、死ぬわけじゃない。最悪、日本に帰ってまたゼロからやり直せばいいだけだ」
そう思えた瞬間、 安定した10年間の終わりは、私の「泥臭くもリアルな人生」が始まるスタートラインだったと思います。
NEXT 次回予告:TOEIC360点からの地獄と大逆転
こうして大金を握りしめ、覚悟を決めてカナダへ渡った私。しかし、現実は想像以上に甘くありませんでした。
最初の語学学校では「圧倒的な英語力のなさ」に打ちのめされ、自信を完全喪失。短大編入を2度も試みるも、あえなく挫折。一度は夢を諦め、ワーホリに切り替えて逃げるように帰国を考えるところまで追い詰められます。
そんな絶望のどん底から、いかにしてわずか半年間の独学で「IELTS 6.0」まで這い上がり、現地の短大へ入学、さらには現地企業での就職まで上り詰めたのか……。

