【図解】カナダのTD1・TD1ONの書き方完全ガイド!ワーホリ・掛け持ち留学生が年末に後悔しないための注意点

【免責事項】 本記事は、カナダ歳入庁(CRA)が公開している公的な情報をもとに、2026年現在での、一般的な情報提供および教育的目的(General Information & Educational Purposes)として執筆しています。筆者は現地の給与計算(Payroll)業務に従事しておりますが、公認会計士(CPA)や弁護士などの資格を有する税務・法務の専門家ではありません。個人の所得状況や州によって税則は異なるため、実際の申告の際は必ずCRAの公式サイトを確認するか、有資格の専門家(CPA等)にご相談ください。本記事の情報を用いて生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。

目次

はじめに|入社初日の大難問!英語だらけの「TD1」って一体なに?

カナダで念願の仕事が決まり、「さあ働くぞ!」と意気込んで職場に行った初日、マネージャーから英語だらけの書類をドサッと渡されてフリーズした経験はありませんか?

シロクマ先生

実は私自身、Payroll(給与計算担当)として働き始めるまで、この書類を全く理解しないまま適当に書いてしまい、後から痛い目を見た経験があります。

その書類の名前こそが「TD1(Personal Tax Credits Return)」です。

特にトロントなどのオンタリオ州で働く場合、国に提出する「TD1(Federal)」、州に提出する「TD1ON(Provincial)」の2枚をセットで渡されるのが基本です。

ここでいうTD1ONはOntario 州の税の申告フォームです。もし、BCであればTD1BC 2026 となりBritish Columbia 州の申告フォームを記入する必要があります。

「英語ばかりで何が書いてあるか分からない…」「とりあえず周りの人に言われるがままにサインだけして出した」という声を本当によく聞きます。しかし、現地で多くのPayroll(給与計算)トラブルを見てきた、経験してきた側として、これだけは声を大にして言いたいです。

「TD1を適当に書くのは、本当に危険です!」

この記事では、カナダに来たばかりのワーホリさんや、カフェやレストランを掛け持ちして頑張る留学生の皆さんが、絶対に失敗しないためのTD1・TD1ONの書き方を、どこよりも分かりやすく解説します。

▼こんな方はここを読んでください!

  • 具体例①:カフェやレストランなど、2つ以上のバイトを掛け持ちしている人
  • 具体例②:年末ギリギリに来た人や、今年の年収が非課税枠(約$15,000)に届かない学生さん

結論|TD1は「年末の地獄の追徴課税」を防ぐための最重要書類!

まず結論からお伝えします。

TD1(およびTD1ON)とは: あなたが毎回の給料から「いくら所得税(Income Tax)を天引きされるか」を決めるための自己申告書です。

この書類を正しく書くべき最大の理由は、「翌年のタックスリターン(確定申告)のときに、国から何千ドルもの大金を一括請求されるのを防ぐため」です。

TD1を正しく提出していれば、毎月の給与から適切な額の税金が自動的に引かれます。払いすぎていれば年末(翌年春)の確定申告でお金が戻ってきますし、足りなければ追加で払うことになります。

つまり、TD1は「税金を今すぐ払うための書類」ではなく、「毎回の給料から引かれる税金のボリュームを、自分の生活状況に合わせて調整するための書類」なのです。

理由|なぜTD1の書き方を間違えると大損(または大パニック)になるのか

なぜ、たかが書類1つでそこまで大騒ぎするのか。その理由は、カナダのシステムが「あなたの自己申告(TD1)を100%正しいものとして給与計算(Payroll)を行うから」です。

会社や雇用主は、あなたから提出されたTD1の数字をそのままシステムに入力します。もしあなたが書類の書き方を間違えて、「私は税金を免除される枠がたくさんあります!」という申告をしてしまうと、システムはこう判断します。

「なるほど、この人は税金を引かなくていいんだな。じゃあ、毎回の給料は天引きナシの満額で振り込もう!」

一見、手取りが増えてラッキーだと思うかもしれません。しかし、これは単なる「税金の踏み倒し(前借り)」状態です。

翌年の3月〜4月になり、カナダ国税庁(CRA)に「タックスリターン(確定申告)」を出すとき、CRAはあなたの実際の年収と、1年間で納めた税金の総額をすべて照合します。その結果、以下の大パニックが起こります。

CRA:「あれ?あなた今年これだけ稼いでいるのに、毎月の給料から1ドルも税金が引かれていませんね。本来納めるべきだった税金2,000ドルを、今すぐ一括で払ってください

シロクマ先生

シロクマ先生:「えっ!?そんな大金、今手元にないです…!」

これが、ワーホリや留学生の間で毎年発生する「タックスリターンの悲劇」の正体です。書き方を1つ間違えるだけで、数十万単位の「借金」を突然背負うリスクがあるからこそ、この書類は慎重に書かなければいけないのです。

具体例①|バイト掛け持ちの留学生は必須!「2カ所目はゼロ」の法則

次に、学費や生活費のために「2つ以上の仕事を掛け持ち(ダブルワーク)している留学生やワーホリさん」のケースです。

カナダでは、働くすべての職場で入社時にTD1とTD1ONを提出する必要があります。 「カフェAで週20時間、レストランBで週15時間働くことになったから、両方に同じように書類を書いて出そう!」

これ、絶対にやってはいけない最大のNG行為です。

なぜ2カ所目も普通に書くと問題なのか

もし両方の職場(A社・B社)に、同じように「基礎控除(約$15,000)」を適用したTD1を出してしまうと、どのようなエラーが起きるでしょうか。

  • A社のシステム:「この人は$15,000までは税金免除ね!」➡ 税金を少なく天引き
  • B社のシステム:「この人は$15,000までは税金免除ね!」➡ 税金を少なく天引き

このように、本来は1人につき1回しか使えないはずの「非課税枠(基礎控除)」を、あなたが2倍(合計3万ドル分)持っているとシステムが勘違いしてしまうのです。 その結果、どちらの職場からも税金がほとんど引かれず、翌年の確定申告で「税金の二重取りをしていたので、差額の1,500ドルを今すぐ国に返してください」とCRAから督促状が届くことになります。

2カ所目の職場の書類を「0」にする書き方手順

これを防ぐための鉄則が、「2カ所目の職場(給料が少ない方)の合計欄は『0』にする」というルールです。

  1. メインの職場(お給料が多い方): 通常通り、Line 1の金額を一番下の合計欄に書く。
  2. サブの職場(お給料が少ない方):
    • TD1・TD1ONの2ページ目(裏面)にある、「More than one employer or payer at the same time(同時に複数の雇用主がいる)」というチェックボックスに「✔︎」を入れる。
    • 1ページ目(表面)の一番下にある合計欄(Total Claim Amount)には、大きく「0」と記入する

こうすることで、2カ所目の職場からは「最初からきっちり高めの税率で天引き」されるようになります。

注意点TD1で Line13をゼロで申告する場合、Line2からLine12は何も記入しないでください。また、混乱を防ぐためにも、必ずTD1ON(州の税フォーム)も同じように申告し、Total Claim Amountはゼロで申告するようにしてください。

具体例②|収入が少ない人限定!毎回の税金天引きをゼロにする

ここまで「税金を引かれないと後が怖い」という話をしてきましたが、逆に「どう計算しても、今年のカナダでの総収入が基礎控除より圧倒的に下回る」ということが最初から分かっている学生さんや、12月などの年末ギリギリにカナダに来て数週間しか働かない人のための、救済措置があります。

通常、年収が低くても毎回の給料からは一律で数%の所得税が仮天引きされ、翌年のタックスリターンで「全額返金」されるのが一般的な流れです。 しかし、「数ヶ月後に返ってくるのは分かっているけど、今の生活費が苦しいから、今すぐ手取りが欲しい!」というケースもありますよね。

そんな時は、TD1およびTD1ONの裏面にある以下のボックスを探してください。

探す項目: 「Total income is less than the total claim amount(総収入が控除額より少ない)」

ここに「✔︎」を入れて提出すると、雇用主の給与計算システムに対して「私は今年の年収が非課税枠に収まることが確定しているので、毎回の給料から所得税(Income Tax)を天引きしないでください」と公式にストップをかけることができます。

※ただし、もし予想に反してたくさん働いてしまい、年収が非課税枠を超えてしまった場合は、当然年末にその分の税金をまとめて払う必要があるので、ご利用は計画的に!

TD1

TD1ON

よくある勘違い|間違えたらCRA(国税庁)に怒られる?

「英語の公的な書類だし、もし計算やチェックボックスを間違えて提出したら、脱税とみなされてCRAから罰金を科されたり、最悪ビザが取り消されたりするの…?」と、震えている初心者の声をよく耳にします。

安心してください。結論から言うと、TD1の書き方を間違えたからといって、逮捕されたり罰金が来たりすることは絶対にありません。

なぜなら、このTD1という書類は、CRA(カナダ国税庁)に提出されるものではないからです。

これはあくまで「あなたと会社(雇用主)の間で完結する、社内の給与計算用メモ」のようなものです。仮にここで間違いがあっても、それは「毎月の天引き額がズレるだけ」の話。最終的には、翌年春に行う「タックスリターン(確定申告)」という本番のステージで、1円単位まで正しい数字にカチッと精算されます。

間違えることを過度に恐れる必要はありません。ただ、「年末に自分が困らないようにするために」正しい知識を持っておくことが大切なのです。

まとめ|書類を出した後の「給与明細(Pay Stub)」チェック方法

最後に、TD1とTD1ONを提出した後に必ずやってほしい「答え合わせ」の方法を伝えて、この記事を締めくくります。

書類を出して安心するのではなく、働き始めて最初にもらう「Pay Stub(給与明細)」の以下の項目を必ずチェックしてください。

  • チェックする項目: 「Income Tax / Federal Tax / Prov Tax」の欄
▼ ワーホリで「90%ルール」に該当し、合計欄を「0」で出した人:

➡ 毎回の給与から、数十ドル単位できちんと税金が引かれているか確認してください。ここが「$0」になっていたら、会社の担当者が間違えて処理している可能性があります。

▼ 掛け持ちで2カ所目を「0」で出した人:

➡ サブの職場の明細で、税金が多めに引かれているか確認してください。

もし「書類に何を書いたか忘れてしまった」「自分の天引き額が合っているか不安」という場合は、前回の記事でご紹介した「Payroll(給与担当者)への問い合わせメールテンプレート」を使って、気軽に会社の担当者に確認してみましょう。

カナダの税金システムは一見複雑ですが、仕組みさえ理解してしまえば、もう怖いものはありません。正しい知識を身につけて、安心で楽しいカナダライフを送ってくださいね!

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【この記事を書いた人】 Panda|カナダ現地企業 現役Payrollとして働く。                          高卒資格なしの元公務員。10年間で1000万円以上の資金を貯め、語学留学とワーホリでカナダへ。帰国後、独学半年でIELTS 4.0から6.0へのスコアアップを達成し、カナダの2つのカレッジ(短大)に進学・卒業。 半年のアルバイト&就活期間を経て、カナダの現地企業に「Payroll(給与計算担当)」として自力で就職。現在、5年目。 現地の給与システムの裏側と、過去の苦い経験からワーホリ・留学生が陥りやすい税務トラブルを、「知らずに大損する日本人を減らしたい」という思いから、実務に基づいたリアルな情報を発信中。

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