カナダの給与明細が分からない…Vacation Payって何?
私もワーキングホリデーで働いる際に遭遇しましたが、初めてPay Stub(給与明細)を見ると、カナダのVacation Pay や Vacation Bank の意味が分からず戸惑う人は少なくありません。また、どこを見ていいいかわからず最初は戸惑うと思います。
当時の私の感想は、振込額だけを見て、思ったより少ないなと思ったと同時に
- 読めないし、よく分からない項目がある
- Vacation Payって何?
- CPP/EIって何?
と、最初は戸惑いました。
この記事では、英語が苦手な人でも分かるように、次の3つをシンプルに整理します。
- Vacation Payとは
- Vacation Timeとの違い
- Pay Stubのどの部分を確認すべきなのか
この記事を読み終えるころには、自分のPay Stubを見て「今回のVacation Payが支払われたのか、積み立てられたのか」が判断できるようになるはずです!

Vacation Payとは何?
Vacation Payとは、カナダで働くときに支払われる有給休暇のためのお金です。
ここで大切なのは、Vacation Pay=ボーナスではありません。
カナダでは、多くの場合、次の2つが別々に扱われます。
- Vacation Time:休む権利
- Vacation Pay:休みのためのお金
この仕組みが、日本の感覚と少し違うところです。
州ごとの法定基準(最低ライン)の違い
代表的な州ごとのルールを比較すると、引き上げのタイミングに微妙な違いがあります。
| 州・管轄 | 勤続年数の浅い期間 | 長期勤続後の引き上げ |
| ON州・BC州・AB州 | 5年未満は 4%(2週間分) | 5年以上で 6%(3週間分) |
| QC州 | 3年未満は 4%(2週間分) | 3年以上で 6%(3週間分) |
| SK州 | 最初から 6%(3週間分) | 10年目から 8%(4週間分) |
| Fed–(銀行・通信・航空など) | 6年未満は 4%(2週間分) | 6年目で 6%、10年目で 8% |
連邦や州の名前について
- ON – Ontario
- AB – Alberta
- BC – British Columbia
- QC – Quebec
- SK – Saskatchewan
- Fed – Federal(連邦管轄)
法律はあくまで「最低限の保証(Minimum statutory requirement)」です。実際の待遇は雇用契約(Employment Agreement)が優先されますので注意です。
- 初年度から高待遇: 優秀な人材を獲得するため、入社1年目から「3週間(6%)」や「4週間(8%)」の有給を付与する企業あります。
- 無制限の有給(Unlimited PTO): テック企業などでは、パーセンテージでの計算枠を外し、必要な時に制限なく休める制度を導入するケースも増えています。
Pay Stubでみる言葉の意味は?
まずはこの4つ!
Vacation Pay
その期間に発生した、休暇のためのお金です。
Vacation Accrued
その都度の支払いで新しく積み立てられた金額です
Vacation Balance / Vacation Bank
現在までに積み立てられている残高です。
YTD(Year To Date)
その年の初めから今までの累計額です。
会社によって表記は少し違いますが、意味はかなり近いことが多いです。
その上で確認したいのは、この2つの部分です。
- 今回の給与に含まれているのか - Vacation Pay
- 積み立てられているのか - Vacation Accrued
支払い方法は2つ
計算されたバケーションペイが「いつ」支払われるかも、雇用形態によって主に2つに分かれます。
- 都度払い(Paid out each pay period)
- 対象: 時給制のアルバイトやパートタイムワーカー
- 仕組み: 毎回の給与に4%または6%が上乗せされて支払われます。休暇中はすでに前払いされている状態になるため、実際に休む日は「無給」となります。
- 積み立て方式(Accrued vacation time)
- 対象: 月給制の正社員
- 仕組み: 会社が有給の残高として金額や日数をプールしておきます。実際に休暇を取った日に、通常の給与として支払われます(有給消化)。
なぜ給料が払われないのか?
ここが当時の私が最も混乱したところです。
「有給休暇があるなら、休んだ期間も給料が出るはず」と思いました。
でも、会社によっては、Vacation Payを毎回の給料に上乗せして支払う方式があります。
その場合、休暇を取っても、その期間に新たな振込がないことになります。
休む権利(Vacation Time)はある。
でも、休み中のお金(Vacation Pay)はすでに受け取っている。
この違いを知らないと、私のような誤解が生まれます。
日本とカナダの「有給」の違い
| 日本の「有給休暇」 | カナダの「Vacation Time & Pay」 | |
| 基本の仕組み | 休んでもその日の給料が「引かれない」権利 | 「休む権利(Time)」を行使し、貯まった「積立金(Pay)」を引き出す |
| 付与のベース | 勤続年数に応じた「日数」(例:1年で10日など) | 稼いだ総賃金に対する「パーセンテージ」(例:総支給額の4%) |
| 退職時の扱い | 未消化分は消滅することが多い(買取の法的義務なし) | 未払いのVacation Pay残高は全額必ず支払われる(法的義務) |
パートタイムでもVacation Payの支払いは?
Vacation Payはパートタイムでも発生します。
ここで大切なのは、「もらえるかどうか」ではなく、「受け取り方の違い」です。
会社によって支払い方は異なりますが、初心者が最初に押さえたいのは次の2つです。
毎回の給与に上乗せされるタイプ(時給制・パートに多い)
毎回の給与明細の「総賃金(Gross wages:休暇手当を除く)」の欄に、通常の労働分とは別の一行として追加されます。
- 明細の表記例:
Vacation PaidまたはVacation 4% - 詳細:
- Regular Hours (時給 × 時間) = $500
- Vacation Paid (4%) = $20
- Total Pay(総支給額) = $520
- 注意点: 実際に仕事を休んだ期間は、給与明細の支給額が「$0」になります。
休暇時等にまとめて支払われるタイプ(正社員や雇用契約で書かれていた場合)
お金はすぐには振り込まれず、給与明細の隅にある「プール(積立)状況」の欄にデータとして蓄積されていきます。
- 明細の表記例:
Vacation YTD (Year-to-Date)、Vacation Accrued、またはVacation Balance - 詳細: 毎回の給料日ごとに、その回の給与の4%分が「貯金残高」のように増えていきます。休む時に「このVacation Bankから〇〇ドル分を引き出す」と申請することで支払われ、Vacation Time中でも給料が受け取れたり、12ヶ月の中で会社規定で定められた日に一括で支払いなど支払われ方は多岐にわたります。
オンタリオ州ではどう考えればいい?
もし、私がオンタリオ州で働き、は、一般的に勤続5年未満なら Vacation Pay は4%、Vacation Time は最低2週間です。
たとえば、総賃金が$1,000だった場合、Vacation Payは約$40になります。
もしその$40をすでに給料に上乗せして受け取っているなら、後日Vacation Time(休暇)を取っても、労働時間は0のため総収入は$0となり、Vacation Pay はありません。

まとめ|最初は振込額しか見ていなかった
最初は、私も振込額しか見ていませんでした。でも、少し仕組みが分かるだけで、給与明細の見え方はかなり変わります。
チェックを推奨: 働き始めたら、最初の給与明細で「Vacation」という文字がどこに、どう書かれているか(Earnings欄にあるか、Accrued欄にあるか)を必ず確認してください。それだけで、自分の支払われるタイプがどちらなのか一発で分かります。
給与明細は、ただの数字ではありません。
自分がどう働いて、そのお金がどう支払われているかを確認するための記録です。
「よく分からないから振込額だけ見る」状態から、「自分のお金を理解して確認できる」状態へ。
それが、カナダで働くうえでの大事な第一歩です。
Panda
免責事項
この記事は、カナダでPayroll業務に関わる中で得た知識や経験をもとに、給与明細の読み方を分かりやすく整理したものです。
州によってルールは異なり、実際の取り扱いは会社の雇用契約によって異なる場合があります。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的・税務的・個別の雇用判断を行うものではありません。
実際の判断については、次をご確認ください。
- 雇用契約書
- Payroll担当者
- 各州のEmployment Standards
Q&A
Time(時間)とPay(お金)が別々で管理されているため、カナダで働いていると以下のような状況がよく発生します。
- 「休んだのに給料が減った」 はなぜ起こる?
-
入社してすぐにVacation Time(休み)を取る許可をもらった場合。休むこと自体はできても、まだ給与の4%が十分に積み立てられていないため、引き出せるVacation Payが足りず、結果的にその月の収入が減ってしまうことがあります。
- 「退職時に思わぬ臨時収入があった」けどこれはどうして?
-
忙しくてVacation Time(休み)をあまり取らずに退職した場合に休み自体は消滅しても、積み立てられていたVacation Pay(お金)は決して消滅しません。最後の給与(Final Pay)に未払い分が全額ドカンと上乗せされて振り込まれます。
次に読みたい記事
▶ 次の記事:【図解】カナダのVacation Pay 支払い方式をPayroll目線で解説

